【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第8章 冷たい瞳のその奥に
?「・・・何一人でブツブツ言ってんの」
(・・・っ・・・)
「アラン・・・」
アラン「怖い顔」
アランは自分の眉間を指差して、
苦く笑う。
「・・・元々です」
アランからふいっと顔を背けて
息をつくと、
アランが首を傾げた。
アラン「・・・で、こんなとこで何してんの」
「・・・考えごと」
アラン「ふうん」
「アランこそ、こんなところで何してるの」
アラン「ジルから、お前に伝言。明日の夜、この国の貴族や議員を招いてプリンセスのお披露目をするって」
「・・・挨拶しろってことか」
アラン「そういうこと」
私の言葉に相槌を打つと、
アランは踵を返した。
「・・・アラン」
その背中に声をかけると、
アランが足を止めて振り返る。
アラン「なに」
(・・・わざわざ、言いに来てくれたんだから・・・これだけは言わないと)
「・・・伝言、ありがと」
目は見ずに、
言葉だけでお礼を言うと
一瞬の間の後に、
アランがふっと笑った気配がした。
アラン「あとで何か奢れよ」
アランは一度だけ手を挙げて
足音を響かせながら去って行った。
――・・・翌日。
プリンセスの公務を終える頃には、
すっかり陽が落ちていた。
パーティー用のドレスに着替え、
用意されたアクセサリーを身に着ける。
(・・・少しは、プリンセスらしく見えてるのかな)
ピアスを耳に着けながら
鏡の中を覗き込んだ時、
ノックの音が響いて
外からユーリの声がした。
ユーリ「零様、そろそろ時間だよ!」
「今行く」
返事をしてユーリと共に、
ダンスホールへと向かった。