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【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)

第6章 プリンセス、始めます。





 大理石の螺旋階段に敷き詰められた
 深紅の絨毯の上を、
 ユーリにエスコートされて下りていく。

報道記者「プリンセスだ!」

 記者の一人が私に気づくと、
 カメラのフラッシュが一斉にたかれる。

(・・・・・・眩しくて前、見えない・・・)

 一瞬フラッシュが止むと、
 階段の下に正装をした
 三人の姿が見えた。

 ゆっくりと階段を下りていくと、
 三人が振り返る。

 一番右には、いつも通り
 どこか冷めた表情のルイ。

 その隣には、不敵に笑うカイン。

 そして、カインの隣で柔らかく笑うノア。

 階段を下り切る直前、
 カインがさり気なく左にずれてくれる。

(・・・こういうところは紳士なんだから)

 私はその空いたスペースに下り立つと、
 三人を一人ずつ見つめた。

 お互いに視線だけで頷き合って、
 真っ直ぐに前を見据える。

 同時に起こるフラッシュの眩い光の嵐の中、
 私の、プリンセスとしての日々が
 始まりを告げた・・・――。



報道記者「零様!プリンセスになられた今のご心境は!」

 興奮気味の記者から
 早速質問が飛んでくる。

 私は口元に僅かな笑みを湛え、
 ゆったりと答えた。

「はい。突然プリンセスに選ばれて、正直まだ実感が湧きません。ですが、この歴史あるウィスタリアで、10年に一度という伝統あるセレモニーで自分が選ばれたことは、大変嬉しく思っています。まだまだプリンセスと呼んで頂くには頼りない私ですが、これから100日間、このウィスタリア王国に愛して頂けるよう邁進していきますので、どうか温かい目で見守っていただけたらと思います」
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