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【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)

第1章 プロローグ












 日本から約12時間。


 ようやくウィスタリアの空港に着き、
 私は小さく息をつく。

 空港のロビーに出ると、
 そこはたくさんの人で賑わっていた。

 迎えに人を寄こすと聞いていたので
 辺りをきょろきょろしていると、
 とんっと足に何かがぶつかった。

「・・・・・・っ」

(・・・・・・え)

 視線を落とすと、
 私の足に小さな男の子が
 しがみついている。

「・・・どうしたの」

 戸惑いつつも声をかけると、
 「親とはぐれてしまった」と
 声を震わせながら訴えてくる。

 当然、放っておけるわけもなく、
 しゃがんで目線を合わせると
 私は口元にほんの少しの笑みを乗せて
 言った。

「・・・大丈夫、私が一緒に探してあげる」

 大きく頷いた男の子の頭を
 撫でてあげていると、
 後ろから盛大な舌打ちが聞こえてきた。

「・・・・・・は?」

 眉を寄せて振り向くと、サングラスをかけた
 若い男が見るからに偉そうに立っている。

?「さっきから人の目の前でグズグズしやがって」

(・・・何、こいつ)

「・・・あんた、何様?」

 私が低い声で呟くと、
 偉そうな男がこう言った。

?「お前、俺様を知らねえのか・・・?」

「・・・たった今、会ったばかりですけけど」

 怪訝な顔で言葉を返すと、
 俺様男がサングラス越しに私を睨んでくる。

 ふと服を引っぱられて視線を下げると、
 俺様男に恐怖心を抱いた男の子が、
 ワンピースの裾をきゅっと握っていた。

 男の子の頭をそっと撫でて、
 私も男を睨み返すと男の後ろから
 こちらに近づいて来る人に気づいた。

?「カインー、イライラしてるからって誰にでも噛みつくの、よくないよー」

カ「うるせえノア!俺様の通る道を塞いでるこいつが悪いんだ!」

 私のことを睨んだまま、
 俺様男がそう怒鳴る。

ノア「そんな暇ないでしょー?遅れるとジルに怒られるよー?」

 ノアと呼ばれたその人が
 窘めるように言うと、
 俺様男がすっと視線を逸らして
 また舌打ちをする。

カイン「・・・ちっ」

 二人のやり取りに呆気に取られていると、
 体の大きなノアさんに
 ずいっと顔を覗き込まれた。

(・・・っ・・・・・・)
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