【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第5章 選ばれしプリンセス
少しだけ息抜きをしてまた
人ごみの中に戻ると、
階段の下に人だかりが見えた。
「・・・?」
人だかりの中から、
こちらに戻ってくる人の会話が耳に入る。
令嬢「ルイ様、今日も麗しいわ」
令嬢2「ええ、本当に。でも、やっぱり誰もお選びにならないわね」
(・・・ルイ?)
再び視線を人だかりに戻すと、
女性に囲まれるルイと目が合った
・・・ような気がした。
「・・・・・・」
(・・・気のせい、かな)
ユーリ「あららー、ルイ様また囲まれちゃってる。第一王位継承者だから仕方ないけど、こうやって見ると気の毒だなー」
ルイは相変わらずの態度で、
群がるご令嬢たちの真ん中にいる。
(・・・色のない瞳に冷たい表情)
「・・・ユーリ、ルイにご挨拶してきちゃ駄目?」
ユーリ「え・・・?」
唐突な私の言葉に、
ユーリは目を瞬かせる。
「・・・なんかルイ、私と同じ、匂いがする」
ユーリ「同じ匂いって」
苦笑いしながら頷いて、
私をルイの元へエスコートしてくれた。
ユーリ「ルイ様、日本からいらっしゃったご令嬢がぜひご挨拶をしたいと・・・」
ユーリがルイに声を掛けると、
ルイは少し目を見張った。
ルイ「・・・っ・・・そう、わかった」
そう言って、ユーリとともに
少し離れたテーブルにいる私の元へ
やって来る。
「・・・こんばんは、ルイ様」
ドレスの裾をつまんで
小さくお辞儀をして顔を上げると、
ルイがすっと視線を逸らした。
ルイ「・・・・・・なぜ君が、ここにいるの」
「国王様に招待状を頂きました。・・・日本に、帰った方が良かったですか?」
私がそう言うと
ルイは何も映していない瞳を
真っ直ぐ私に向けて、
冷ややかな声で言った。
ルイ「・・・君は、ここから立ち去ったほうがいい。・・・できるだけ早く」
「・・・・・・っ」
言い返そうと口を開きかけた時、
どこからかジルの声が聞こえてきた。
ジル「皆様、本日は『ロイヤルプリンセスデイ』にお集まり頂きありがとうございます。淑女の皆様、ただいま順にガラスの靴のご試着を進めております。ご試着をご希望の方は、どうぞ会場手前のステージにお越しください。それでは引き続き、お時間の許す限りお楽しみください」