【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第5章 選ばれしプリンセス
その後も、
移動する毎にあちこちで声を掛けられて
たくさん話をした。
(・・・もう限界・・・)
ユーリ「零様、大丈夫?」
隣を歩くユーリが、
心配そうに尋ねてくる。
「・・・・・・大丈夫に見える」
疲れ切った顔をユーリに向けると、
「ちょっと待ってて」
とユーリがどこかに消える。
(話すの苦手なのに、いっぱい喋って疲れた・・・)
窓の側にぽつんと立っていると、
すっと隣に人の気配を感じる。
?「何疲れた顔してんの」
(・・・誰)
怪訝に視線を向けると、
スーツに身を包んだアランが
私を見下ろしていた。
「・・・アラン」
私がそう呼ぶと、ふっと笑う。
アラン「すっげえ疲れた顔してる」
「・・・人と話すの、苦手なんで」
アラン「知ってる、ずっと見てたから」
「・・・・・・悪趣味ですね」
そう呟いて冷めた視線を送ると、
アランは一瞬目を見開いて
吹き出すように笑った。
アラン「猫被り」
「・・・被ってない」
話していると、
ユーリがグラスを手に戻って来た。
ユーリ「零様、はい」
ユーリが持ってきたのは、
私が好きなアップルシードルだった。
「ありがとう・・・でも、なんで」
目を瞬かせると、
ユーリは笑って言う。
ユーリ「零様の顔に”もう話したくありません“って書いてあったから、ちょっと息抜き」
アラン「確かに、思いっきり顔に出てたな」
アランも笑う。
「・・・気を付けます」
そう言ってユーリからグラスを受け取る。
ユーリ「アラン様も何か飲む?」
「取って来るよ」とユーリが言う。
アラン「いや、仕事中だからいい。悪いなユーリ」
ひらひらと手を振って、
アランは持ち場に戻って行った。