【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第27章 夢√編 passing rain afterwards.
零の声が、
携帯からその場に響く。
――・・・ユーリ。
・・・私、今からウィスタリアに戻る。
ユーリ「・・・・・・だって」
ユーリはシドを見つめて笑みを浮かべる。
シド「・・・ったく、まどろっこしい真似させやがって」
遠くにいるルイを一瞥して
シドがため息をつくと、
足音が響いた。
クロード「シド、お前はそんなことに手を貸すような人間じゃなかったはずだ」
ユーリ「・・・クロード」
シド「まあな。でも未来のプリンセスに手を貸したほうが、俺の利益になる。・・・それにお前のツメの甘さ、じれったくてよ」
クロード「・・・ツメの甘さ?」
ユーリ「ルイ様には血縁者がいないから、簡単にあの座から引きずり降ろせるかもしれない。だけど、そのために使えた期間限定プリンセスの零様を手放したのは・・・どうして?いくらでも引き止める手段はあったはずだけど」
クロード「使えない駒だと判断しただけだ」
ユーリ「・・・・・・そう、まあいいけどさ」
ユーリは携帯を掲げると、
口角を持ち上げる。
ユーリ「運命はいつだって、ハッピーエンドの見方をしたがるんじゃない?」
クロードは何も言わないまま、
薄い笑みだけを残して立ち去って行く。
・・・・・・・・・・・・
(・・・これで、いいかな)
パスポートと必要最低限の物だけを抱えて、
マンションをあとにする。
通りに出ると、
私はタクシーを捕まえるために
視線を彷徨わせた。
不意にあの夜
ルイが口にした言葉を思い出して、
胸が締め付けられる。