【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第27章 夢√編 passing rain afterwards.
「・・・次期国王になったら、背負うものは増えるけど・・・もっと、多くのものを守れるようになるね」
ルイ「そうだね。・・・けど」
ルイ「・・・君だけは。君のことだけは、守れない」
(・・・・・・・・・ルイが・・・守ることを、何よりも大切にする人が)
どんな想いで、
あの言葉を口にしたのか。
それを想うと、
押し潰されたように胸が痛んだ。
ぎゅっと胸に手を当てた瞬間、
車のライトが視界を照らしていく。
胸に当てた手を上げてタクシーを止め、
乗り込むと私は運転手さんに告げた。
「空港まで」
・・・・・・・・・・・・
――・・・・・・飛行機に飛び乗って
ウィスタリアに着くと、
眩しい陽ざしが視界を包んだ。
(・・・・・・戻って、来た・・・)
懐かしい陽ざしと懐かしい匂いに、
ずっと重かった心が少しだけ、
軽くなった気がした。
ユーリ「零様・・・!」
空港の外に出ると、
迎えに来てくれたユーリが
駆け寄って来た。
「・・・久しぶり、ユーリ」
3か月ぶりに見る
ユーリの笑顔は変わらなくて、
思わず私も小さく笑う。
だけど次の瞬間、
ユーリは私をじっと見つめて眉を寄せた。
ユーリ「・・・零様、少し・・・痩せた?」
「え・・・?」
ユーリ「ううん・・・、何でもない!さ、行こう?」
ユーリが呟いた言葉が
上手く聞き取れなくて問いかけたけど、
誤魔化すようにユーリは笑って、
私に手を差し出した。
「・・・うん」