【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第27章 夢√編 passing rain afterwards.
毎日必死に仕事をしていても、
こうやって何気ない瞬間に
遠く離れた面影を思い出してしまう。
(・・・・・・こっちで色々探ってはみたけど、やっぱり収穫は見込めないな)
「・・・・・・・・・・・・」
その時ふっとある男の存在を思い出す。
(・・・そうだ、確かウィスタリアに情報屋がいた)
ジャケットのポケットから携帯を取り出して、
画面を操作しようとしたその瞬間・・・・・・
「・・・・・・え」
手の中の携帯が震えて、
今まさに電話をしようと思っていた
人物の名前が表示された。
(ユーリ・・・)
落ち着いて指をスライドさせて、
携帯を耳に当てる。
「もしもし、ユーリ?」
?「・・・よう、プリンセス」
(・・・・・・この声)
声の主はユーリではなかったけれど、
その声は確かに聞き覚えがあった。
「・・・・・・誰」
?「物覚えが悪い女だな」
(・・・やっぱり)
「・・・・・・・・・シド」
シド「覚えてんじゃねえか。・・・なあ、お前、今テレビが見れるとこにいるか」
「・・・は?テレビ・・・?」
シド「探せ。無いならそれまでだ」
(・・・そんな、急に言われても・・・)
唐突すぎる状況に戸惑いながらも、
私はシドに従ってその場を走り出す。
シド「・・・とっとと見つけろ」
その瞬間、
夜空を照らしている街頭ビジョンが
目に飛び込んだ。
「・・・あった、見つけた・・・っ・・・」
見上げた画面の中の姿に、
息が止まる。
(・・・ルイ・・・・・・?)
シド「お前のための生中継だ。・・・見とけよ」
携帯を耳に当てたまま、
街頭ビジョンを見つめた。