第26章 夢√編　魔法の解けたｼﾝﾃﾞﾚﾗ

「ねえﾙｲ、･･･笑って」

ﾙｲ「･････････うん。･･･零も」

　ﾙｲは柔らかく笑うと、
　出会った頃と同じように
　真っ直ぐに私を見つめて呟いた。

ﾙｲ「零」

「ん･･･？」

ﾙｲ「君の歩く道が明るく照らされるように･･･心から願ってる」

「･･･っ･･･ありがとう。ﾙｲも･･･」

（本当は、言いたくない。貴方の隣には、私がいたい･･･）

「･･････世界で一番、･･･幸せになって」

　必死に笑みを保って
　偽りの言葉を伝えると、
　ﾙｲは一度だけ頷いて歩き出す。

　遠くなるその背中を、
　唇を噛み締めて見つめた。

（･･････何度も、あの背中を･･･ﾙｲの背中を追いかけた）


「･･･ﾌﾟﾘﾝｾｽになるってことは、良いことばかりじゃないって解ってるから」

ﾙｲ「･････････好きにすれば」


ﾙｲ「･･･待たないから、追いついて」

「･･･っ･･･うん」


　何度も追いかけたﾙｲの背中に背を向けて、
　陽の射す廊下を歩き出す。

　お互いが離れていく足音だけが、
　朝日に包まれて静かに響いていった。



　ﾙｲが窓辺に立っていると、
　ﾕｰﾘが険しい表情で隣に立った。

ﾕｰﾘ「どうして零様が出て行くことになったんですか？」

ﾙｲ「･････････」

ﾕｰﾘ「ﾙｲ様･･･っ･･･」

　ﾙｲの顔を覗き込んで、
　ﾕｰﾘは目を見開く。

　強い眼差しで、
　零が辿る道を
　ただﾙｲは見つめていた。



ﾙｲ「･･･迎えに行く。･･････絶対に」