【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第26章 夢√編 魔法の解けたシンデレラ
ルイ「・・・零」
聞き慣れた澄んだ声に視線を上げると、
ルイがたくさんの書類を抱えて
立っていた。
「ルイ・・・・・・」
ルイ「・・・早いね」
「・・・うん、朝一の便だから」
ルイ「そう・・・」
「ルイも早いね、・・・公務?」
ルイ「宣言式まで・・・色々準備があるから」
「・・・そう」
どこかよそよそしい会話を交わしながら、
無理矢理笑顔を作る。
(最後くらい、笑って別れよう)
「ウィスタリアに来て、今日の空が一番綺麗」
朝日が射し込む窓から
視線をルイに移すと・・・・・・
ルイ「・・・・・・・・・」
ルイは眩しそうに目を細めて、
私を見つめていた。
「・・・どうか、した?」
ルイ「君の笑顔に憧れてたよ」
「え・・・」
ルイ「見てると、自分まで温かくなって・・・こんな風に笑えたらってずっと思ってた」
ルイの頬に陽ざしがかかって、
その瞳が揺れる。
「・・・・・・・・・」
(ルイ・・・、私はここに来るまで・・・笑い方を忘れてたんだよ)
その揺れる瞳をしっかりと見つめて、
私は静かに口を開いた。
「・・・ルイ、知ってた?」
ルイ「・・・・・・?」
「もう、笑えてるよ」
ルイ「・・・・・・・・・・・・」
「・・・ルイと、ここで過ごした日々を思い出すと・・・拗ねた顔とか、驚いた顔とか、少しだけ怒った顔とか、最初の・・・冷たい顔を思い出すけど・・・」
(でも・・・・・・)
「一番思い浮かぶのは、ルイの笑った顔」
ルイ「・・・・・・そっ・・・か」