【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第23章 偽物王子の大きな覚悟
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ガラスの靴をドレッサーの脇にそっと置いて、
小さく息をつく。
ユーリ「零様、入るよー?」
「うん」
返事をすると、
扉が開いてユーリが顔を覗かせる。
ユーリ「今日は俺が零様の着替えを手伝うよ」
「ユーリが・・・?」
ユーリ「そう。メイドさんから伝言をもらったんだけど、クロード様が不在みたいなんだ」
「・・・そう。ありがとう、ユーリ」
ユーリ「うん。俺は靴を履かせてあげるくらいしかできないけどね」
「・・・充分」
肩をすくめるユーリに小さく笑いかけて、
ふっと昨日のことを思い出す。
「・・・そういえば昨日、孤児院の視察に行く前にクロードを見かけた」
ユーリ「え?」
「手に、花束を持って歩いてた」
ユーリ「花束・・・・・・・・・?」
(・・・女の人を口説きに行くような感じでもなかったし)
「・・・なんか、ちょっと引っかかったんだよね」
ユーリ「そっか」
ユーリは
にこっと人懐っこい笑みを見せると、
ドレッサーに置かれていたリボンを手に取る。
ユーリ「ねえ零様、髪結ばせてよ」
「え・・・、嫌」
ユーリ「なんで?」
「だってユーリ、結ぶどころかぐちゃぐちゃにしそう」
ユーリ「ひどいなー、俺わりと自信あるよ?」
「絶対、嘘」
ユーリ「ほんとだってば」
くだらない言い合いに、
私たちは顔を見合わせて笑い合った。