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【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)

第21章 貴方が守る、大切な場所


ルイ「・・・この場所で、育った。・・・もう、遠い昔だけど」

「・・・あの子たちみたいだった?」

 想像はつくけれど、
 庭を走り回る子どもを
 見つめて尋ねると、
 ルイは笑って遠くを見つめたまま言った。

ルイ「もっと、大人しかった。あの子たちみたいに走らない子だったから」

「・・・やっぱり」

 ルイは視線を伏せて笑うと、
 向こうの建物を指差した。

ルイ「院長に挨拶して来るよ」



 ルイが零と別れて歩いていると、
 風がさっと吹き抜けて
 目の前の視界が開けた。

ルイ「・・・・・・まだ咲いてる」

 遠い昔を思い出させるように咲く、
 真っ白な花を見つめていたその時・・・・・・

クロード「・・・・・・・・・・・・」

ルイ「・・・クロード」

クロード「・・・・・・・・・お前」

 ルイはクロードの足元にそっと手向けられた
 花束を見つめて、
 眉を寄せた。

ルイ「それ・・・」

クロード「その可哀想な目、今すぐにやめろ。まあ、その内そんな顔してる余裕すら奪ってやるけどな」

ルイ「・・・何をする気」

 クロードは白い花に背を向けると、
 ルイに近づいて見下ろした。

クロード「零は、良いプリンセスに成長したな」

 クロードの何も映していない瞳が、
 ルイを見据える。

クロード「第一王位継承者のそばに、純情なプリンセス・・・。・・・そんなハッピーエンドは、お前には似合わない」

ルイ「・・・っ・・・」

クロード「零を、そろそろ俺の駒にさせてもらおうか」

ルイ「・・・そんな簡単に」

クロード「どうだって使えるだろ。・・・手段を選ばなければな」

 冷たいクロードの瞳から視線を逸らして、
 ルイは風に揺れる白い花を見つめる。

ルイ「・・・本当に、地位を心から望んでいるとは思えない」

 クロードは余裕の笑みを浮かべたまま、
 ルイを見つめている。

ルイ「・・・っ・・・あの子はそんなこと・・・!」
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