【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第20章 初めての遊園地
ルイ「手・・・貸して」
「はい、どうぞ・・・?」
きゅっと繋ぐと、
ルイは微かに頬を染めて呟く。
ルイ「・・・手、繋いでだったね」
繋がれた手から伝わる
ルイの体温が愛おしい。
(幸せ・・・って、こういうことを言うのかな)
何気ない瞬間を
抱き締めるように、
私たちは歩き出した。
・・・・・・・・・・・・
(・・・・・・ここが、ウィスタリアの遊園地)
賑やかな声とカラフルな景色が
視界を埋め尽くして、
しばらくその場に立ち尽くす。
(・・・初めて来た・・・・・・)
「ルイ、何か乗りたいものある・・・?」
ルイ「・・・・・・・・・・・・」
「ルイ・・・?」
ルイ「あ・・・ごめん。初めて来たから・・・賑やかで少し驚いた」
今自分が思っていたことを
ルイが言うから、
思わず笑ってしまう。
ルイ「・・・何」
そんな私に、
ルイは少しむっとした表情を浮かべた。
「ごめん。だってルイ、私が思ってたことそのまま言うから」
ルイ「え・・・?」
今度は目を丸くして、
ルイは瞬きをする。
「私も、遊園地初めてだから」
からっと笑って言うと、
それだけで察したのか
ルイは優しく笑ってくれた。
ルイ「そっか」
顔を見合わせて微笑み合っていると、
目の前を
風船を売るお兄さんが歩いて行く。
「あ、風船。・・・懐かしい」
ルイ「・・・懐かしい?」
「うん。小さい頃、どうしても風船が欲しくてお祖父様におねだりしたら、次の日お部屋が風船だらけになってたの」
ルイ「そう。・・・昔の零に会ってみたい。きっと、可愛いと思うから」
「・・・昔の私は、きっと今以上に愛想悪いよ・・・?」
ルイ「それでも、俺は会ってみたい」
ルイの瞳が
柔らかな色を帯びて
私を見下ろしている。
「ルイの小さい頃は・・・・・・」
言いかけてハッとする。
でも、
そこで口をつぐむのは違う気がして
私はそのまま言葉を続けた。
「どんなだったか、今度教えて」
ルイ「うん」
ルイは優しく笑うと、
私が手にするマップを覗き込んだ。