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【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)

第19章 暴かれたプリンセスの過去



シド「・・・あのプリンセスの両親は、7歳の時にあいつの目の前でクビになった元使用人に殺された」

アラン「なっ・・・」

シド「動機は、クビになった腹いせだったらしい」

レオ「それで、そのあと零ちゃんは?」

シド「そのあと、身寄りのなくなったあのプリンセスは、報道紙に書いてあった通り、親戚中をたらい回しにされながら桐谷家の跡取りとして厳しく躾けられた。学校ではあの容姿も手伝って相当いじめられてたみてえだな」

ルイ「・・・・・・・・・」

カイン「・・・ちょっと待て。身寄りがないって・・・あいつのじいさんはどうしたんだよ」

ジル「・・・それは私から話しましょう」

 カインの問いにジルが静かに口を開いた。

ジル「プリンセスのお祖父様、桐谷零様は、その時この国にいたのですよ」

ルイ「・・・どういうこと」

ジル「日本は非常に医療技術の優れた国・・・その中でも、零様は世界屈指の専門医でした。国王陛下が倒れられた時、その噂はもちろんこのウィスタリアにも届いていたため、零様に国王陛下自ら診察を打診されたんです」

 ジルは
 どこか懐かしむような表情を浮かべ、
 言葉を重ねる。

ジル「快く引き受けてくださった零様は、すぐに国王陛下とも打ち解けられ、国王陛下もまた零様を慕っておられました。そんな時、日本で起こった事件を知り、零様は大変ショックを受けておられました。そして、一人残されたプリンセス・・・零様を守るため、日本に戻られたのです」

シド「日本に戻ったじいさんは、まずあいつの親が作った会社を統合し、今の桐谷グループを作り上げた。そして、そこであのプリンセスを雇って守ってたんだ」

ジル「・・・そして、零様自身も持病を抱えておられその死期を悟った零様は、現・国王陛下に零様を託すべく、彼女をこの国に来させたのです」

 部屋の中に重い沈黙で満たされていく。

 あまりにも重すぎるプリンセス過去に、
 誰一人
 言葉を発することができずにいた。
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