【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第2章 ウィスタリア王国
ユーリ「零様ー!もうすぐ晩餐の時間だよ!・・・ってルイ様もいたんだ」
ルイ「ユーリ」
ルイ・・・と呼ばれた美しい男性が、
視線だけでユーリに尋ねると
ユーリは男声に微笑んで私に向き直る。
ユーリ「零様、こちらは第一王位継承者のルイ様だよ」
手のひらで指し示し、
笑顔で教えてくれるユーリ。
ユーリ「ルイ様、こちらは明日のパーティーに出席されるため日本からいらした、国王陛下の古いご友人のお孫さんの桐谷零様だよ」
ルイ「・・・そう」
「今日からしばらくお世話になります。よろしくお願いします、ルイ様」
薄っすらと口元に笑みを乗せて一礼する。
ルイ「・・・ああ」
ルイ様はほんの一瞬、すっと目を細めて
視線を外しながら素っ気なく答える。
そして、すたすたと回廊に向かって
歩いて行ってしまう。
ユーリ「ルイ様?」
ルイ「・・・晩餐の時間、でしょ」
ユーリの呼びかけに足を止めて振り向くと、
短く答えてまた歩き出す。
ルイ「あっ、ルイ様待ってよー!ほら、零様も行くよ!」
「・・・うん」
ルイ様の後を追って、
走り出そうとするユーリに促されて
私も食堂へと足を向けた。
(・・・・・・ここに来てから、何か、変・・・)
少し前を話しながら歩く
ルイ様とユーリを見ながら思う。
(・・・さっきから胸のあたりがずっともやもやしてる)
ルイ様に会ってから
ずっと引っかかりを感じていた。
(・・・どこかで会ってる・・・?でも、こんな目立つ人、忘れるはずがない・・・)
歩きながら物思いに耽っていると・・・・・・
「・・・っくしゅ!」
突然のくしゃみに、二人が振り返る。
ユーリ「零様、大丈夫?」
ルイ「・・・あんなところで寝てるから」
呆れたようにルイ様がため息をつく。
ユーリ「え、あそこで寝てたの!?」
「・・・夕焼けがすごく綺麗で、見ていたらいつの間にか寝てたみたい」
ユーリ「えー・・・。零様、風邪ひいちゃうよー」
ユーリがそう言った瞬間、
ふわりと肩に何かがかけられた。