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【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)

第2章 ウィスタリア王国


 その後、ユーリに王宮内の主要施設を
 一通り案内してもらい、
 私たちは部屋に戻ってきていた。

ユーリ「零様、たくさん歩いて疲れたでしょ?はい、ベルガモットティー」

 ソファに腰を下ろすと、
 手際よく淹れてくれた紅茶を
 差し出してくれるユーリ。

 カップとソーサーを受け取ると、
 ふわっとベルガモットの香りが鼻をくすぐる。

「ありがとう、ユーリ」

ユーリ「どういたしまして。この後は晩餐の時間まで空いてるから、自由に過ごしてね」

 食器を片づけながら、
 ユーリがこの後の予定を教えてくれた。

「うん・・・あ、じゃあ・・・」

(さっき戻ってくる時に通った、中庭に行ってみたい・・・)

「中庭に、行ってきてもいい・・・?」

ユーリ「うん、わかった。それじゃあ、晩餐の時間になったら呼びに行くね」

 ティーワゴンを片づけに行くユーリと
 部屋の前で別れ、
 私は中庭に向かった。

 吹き抜けの回廊から中庭に降りると、
 優しい風が髪をさらう。

 小さな噴水と
 色とりどりの花が咲き乱れる中に、
 ぽつんと置かれた
 アンティーク調の白いベンチに腰をかけ、
 陽が傾き始めて
 オレンジに染まる空を見上げる。

「・・・綺麗」

 左腕を額に乗せて、
 私はそっと目を閉じた・・・。



 ―――――・・・



?「こんな所で寝てると、風邪を引く・・・」

「・・・?」

 不意に肩を揺すられて目を覚ます。

 どうやらあのまま、
 眠ってしまったらしい。

 ゆっくりと閉じていた瞼を開けると、
 柔らかな金色の髪に
 海のように澄んだ青い瞳の、
 それはそれは美しい男性が
 私を覗き込んでいた。

?「・・・見たことないけど、城の人?」

 男性が、私の顔を見て少し首を傾げる。

 きっと日頃から
 この城に出入りしている方なのだろう。

「・・・いいえ。国王様の記念パーティーに招待されて、日本からやって来ました」

?「随分、遠いところから・・・」

 男性が話し出したところで、
 私を呼ぶ声が聞こえてきた。
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