【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第18章 境界線のその先に
「・・・ルイ、私そろそろ公務の時間」
膝から下りようとすると、
また腕の力が強くなった。
「・・・?」
ルイ「・・・・・・駄目」
「・・・え」
ルイ「・・・・・・零は、俺の秘書だから」
そんな言葉に、思わず口元が綻んだ。
「最近は一緒にいられない、駄目な秘書だけどね?」
くすくすと笑うと、
下唇にルイの指先が触れた。
ルイ「口、開けて」
「え・・・?」
指先で唇を押されて
言われた通りに口を開けると、
何かがころんと転がり込んだ。
(これ・・・)
「・・・バニラの飴」
(・・・甘い)
ルイ「これで、・・・時間が止まったらいいのに。・・・そう、思っただけ」
ゆっくり振り向くと、
ルイの瞳が柔らかい色を帯びる。
ルイ「・・・引き止めて、ごめん」
(・・・ルイも、寂しいって思ってくれてるの?)
少しだけ沈んだルイの表情が愛しくて、
私はルイの服を小さく引き寄せた。
ルイ「・・・?」
ルイが首を傾けた瞬間、
触れるだけのキスをする。
ルイ「・・・・・・っ・・・」
(・・・っ・・・自分からしたの、初めて)
「・・・行ってきます」