【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第18章 境界線のその先に
カイン「・・・・・・」
「・・・なに」
不意に視線を感じ、
カインを睨む。
ノア「あー。カイン、今零に見惚れてたでしょー?」
「・・・・・・は?」
ルイ「・・・・・・え」
ノアの思いがけない言葉に、
私とルイは同時に声を発した。
カイン「は!?俺様がこんな愛想ねえヤツに見惚れるわけねえだろうが!」
耳まで真っ赤になりながら、
カインはノアに噛み付くように怒鳴る。
「・・・愛想なくて、悪かったわね」
ルイ「・・・カイン、黙って」
ルイはむっとした表情を浮かべると、
私の手を掴んですたすたと扉へ向かう。
「・・・?」
ノア「またねー」
カイン「・・・・・・あいつら、あんな表情できんだな」
・・・・・・・・・・・・
手を引かれたままルイの部屋に入ると、
ルイはソファに深く腰かける。
そして、
自分の膝をとんとんと指で示した。
「・・・失礼します」
少し遠慮気味にルイの膝に乗ると、
後ろからぎゅっと抱き締められる。
ルイ「・・・・・・少し、妬けるね」
「ん・・・?」
ルイ「こっちの話」
ルイの声に少しだけ笑みが混じって、
背中に額が当たった。
ルイ「・・・ただいま」
「・・・おかえり」
お互いに
慣れない言葉を話すような口調に、
勝手に頬が綻んでいく。
ルイ「二人きりは久しぶりだね」
「そうだね。ルイ、忙しかったし」
ルイ「それは君も同じ、でしょ?」
背後から聞こえる気遣うような声に、
お腹に回された腕にそっと触れる。
(ルイの方が、疲れてるはずなのに・・・)
「・・・無理は、しないで」
組まれた手をきゅっと握り
静かに呟くと、腕の力が強くなる。
ルイ「零・・・」
(・・・本当は、もう少し一緒にいたいけど)
私には私の、やるべきことがある。
(ルイとなら、頑張れる)
それは、支え以外の何物でもない。