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【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)

第18章 境界線のその先に





 ――・・・それから数日が過ぎて・・・

カイン「おい、ノア。てめえまた俺様の林檎食っただろ」

ノア「あー・・・食べたかもー」

カイン「・・・。てめえ、今すぐ買ってこい」

ノア「んー・・・眠いからあとでね」

カイン「あとでじゃねえ、今すぐだ!」

 相変わらずうるさい二人を横目に、
 私は報道紙を見つめる。

 『――ハワード卿、
  会社の建て直しを順調に進める』

 紙面の端の方に書かれた小さな記事に、
 少しだけほっとする。

(・・・ルイ、頑張ってるな)

 あれからルイは毎日忙しく公務をこなし、
 着実に会社を建て直していた。

(・・・本当は、私も手伝いたいけど)

 私も私でプリンセスの公務が忙しく、
 この数日間
 ルイとはすれ違いの日々を送っていた。

カイン「・・・お前さっきから何見てんだよ」

 手にしていた報道紙を
 カインが奪いながら口の端を上げる。

「・・・・・・。返して」

 取り上げられた報道紙に
 手を伸ばした時・・・・・・

ルイ「・・・カイン?」

カイン「ルイ・・・!」

 ルイの今までとは違う微笑みに、
 カインは苦く笑う。

ノア「おかえりー、ルイ。会社は順調?」

 柔らかく笑うノアの問いかけに、
 ルイは小さく頷いた。

ルイ「・・・まだ、元通りってわけにはいかないけど・・・、こんなことで俯いていられないから。二人に助けてもらった分も頑張るよ」

(・・・・・・ルイ、前よりなんか男らしくなった)

 カインとノアを真っ直ぐ見据え、
 微笑むルイが頼もしく見える。

 そんな三人を、
 私は少し離れたソファに座って見ていた。
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