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【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)

第18章 境界線のその先に



(・・・きっと、ルイも気づいてた)

 ルイの表情からそう思う。

ルイ「・・・君は・・・強いね」

「ルイ・・・?」

ルイ「どんなに俺が拒絶しても・・・君は決して逃げなかった」

(・・・・・・そんなこと)

「・・・できるわけ、ないでしょ・・・?」

 ルイの瞳を見つめると、
 ルイは今にも泣き出しそうな顔で、
 私の頬に手を伸ばす。

ルイ「・・・だから拒絶すればするほど、強く・・・君に惹かれていったんだ」

「・・・・・・え」

(それって・・・・・・)

 見つめたまま息を呑むと、
 ルイの瞳が切なげに揺れる。

ルイ「・・・君を手放すのが怖くて・・・だけど、君の自由を奪うのも怖くて」

 絞るように呟かれる言葉に、
 胸がぎゅっと締め付けられる。

ルイ「俺は・・・弱虫だね」

 晴れた空から降る雨が、
 私たちを濡らしていく。

「・・・違う、ルイは強いよ」

ルイ「え・・・・・・?」

(ルイは弱虫なんかじゃ、絶対ない)

「・・・だって、出会った時から私を守ってくれてた。今だって、色んなもの、全部守ってる」

ルイ「・・・・・・っ・・・」

(突き放す優しさも、寄り添うことの大切さも、手を伸ばす勇気も・・・全部、ルイからもらったもの)

ルイ「零」

(・・・おかしいな、絶対に誰も好きにならないって、決めてたはずなのに)

 胸に広がる想いに、心が戸惑う。

(でも・・・本当はきっと、出会った瞬間から惹かれてた)

 ずっと目を逸らしてきた想いが、
 静かに溢れ出していく。

「ルイ・・・」

ルイ「ん・・・?」

「・・・私、ルイが好き」

ルイ「・・・・・・っ」

「絶対に誰も好きならないって思ってたのに・・・不思議だね」

(・・・本当、どうしてこうなっちゃったんだろう)

「ルイ、私は自分の自由は自分で決める。・・・ずっとそうやってきたから」

ルイ「・・・・・・・・・っ」

「もっともっと・・・強くなる」

(もう・・・、大切な人を失いたくない。・・・この手でずっと、守りたい)
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