【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第17章 守りたいもの
――・・・翌日。
私は一人で、
隣国・シュタインを訪れていた。
「ジル、一つだけ許可して」
ジル「用件は」
「明日、プリンセスとしてシュタインに行くことを許可して欲しい」
ジル「理由は・・・?」
「ウィスタリアの信用を、取り戻すため・・・」
見慣れない廊下に、
ガラスの靴が音を立てていく。
(・・・私は、私にできることをする)
重厚な扉の前で足を止め、
大きく息をついて扉をノックした。
「失礼致します」
足を踏み入れた先には・・・・・・
ゼノ「・・・また会ったな、ウィスタリアのプリンセス」
視線を上げると、
威厳を纏ったゼノ様が
私を見つめている。
「急に足を運んだこと、お許しください」
ゼノ「構わない。・・・用件は何だ」
見透かすような
ゼノ様の瞳をしっかりと見つめて、
私は口を開いた。
「ゼノ様のお力をお借りしたく、今日はここに来ました」
ゼノ「・・・・・・・・・」
ゼノ様を見つめたまま、
いつの日か
この場で交わした会話を思い出す。
ゼノ「プリンセス、とっさの明瞭な判断に助けられた。礼を言おう」
ゼノ「・・・借りは返す主義だ」
「・・・・・・それは」
ゼノ「困った時は、力になろう」
(・・・都合のいい申し出だと、解ってるけど)
「ハワード卿の件は、ご存知ですよね」
ゼノ「・・・ああ、その話の一部始終は聞いている」
「はい。視察に通っても、一度失った信用を取り戻すのは難しい。・・・・・・そこで、私は貿易を締結しているゼノ様のお声を頂きたい。そう考えています」
ゼノ様の瞳を真っ直ぐに見つめる。