【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第16章 初めて触れた貴方の心
ジル「自分だけが見染められ公爵として何不自由のない生活を得た・・・その負い目を、ずっと背負っているんですよ」
ジルの言葉を思い出していると、
冷たい指先に腕を掴まれて
そっと体が離される。
見上げると、
雨がルイの頬を伝って流れていく。
(ルイ・・・・・・?)
ルイの頬を伝うのは、
涙か雨かわからない。
「・・・自分のためだって言うなら、そんな顔しないで」
真っ直ぐ瞳を見つめると、
ルイは大きく瞳を揺らして
絞るような声で呟く。
ルイ「・・・自分の罪を償うために、君を巻き込むことが・・・どうしようもなく、怖い・・・」
(・・・ルイはきっと、私よりずっと長い間、たった一人で歩いて来た)
ルイ「・・・・・・どうして君は・・・自分のためにならないことに向かって頑張れるの?」
「・・・・・・私は、頑張ってなんか、いない」
「頑張るって、何かに一生懸命になるってことでしょ?・・・私は、一生懸命やってるわけじゃない。・・・ただ、周りに認められたいだけ」
ルイ「・・・・・・・・・」
(・・・全部、自分のためだと思おうとして・・・こんなに心をすり減らして・・・)
雨に濡れた指先でルイの手を掴むと、
大きく目が見開かれる。
「・・・自分のためだけに生きていける人なんて、いない」
ルイ「・・・・・・・・・君は・・・っ・・・」
(解ってる。ルイが言いたいことは、手に取るように解るから・・・)