【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第16章 初めて触れた貴方の心
(・・・やっぱり、思い過ごしなんかじゃなかった)
ルイ「・・・俺は、より自分の利益になる仕事を選んでる」
(・・・自分の、利益・・・)
ルイ「自分にとって何がプラスになるか。・・・俺は、そんなことしか考えてない人間だよ」
「そんなことって・・・」
ルイ「そんな俺から学べることなんて・・・ない」
「・・・っ・・・じゃあ、なんでっ・・・」
(ルイに会って・・・伝えなきゃ)
外はいつの間にか降り出した雨が
地面を濡らしていた。
手配した車が
ゆっくりとエントランスに横づけられる。
車に乗り込んで
何気なく視線を上げたその瞬間、
遠くにブロンドの髪を見つけた。
(あれって・・・・・・)
「・・・待って」
ドアを閉めようとした
運転手さんを止めて、車を降りる。
服が濡れるのも構わずに
私は雨の中を歩き出す。
門の外に出てみると・・・・・・
降りしきる雨の中、
上着を手に歩いて来るルイの姿を捉えた。
「ルイ・・・・・・」
ルイ「・・・・・・っ・・・」
息を呑むルイの元まで、
ゆっくりと歩いて行く。
「・・・・・・こんなに濡れて・・・」
ルイ「放っておいてって、言ったはずだよ・・・」
雨に濡れて濃くなった
ルイのブロンドの髪から雫が落ちて、
衝動的に濡れたルイの体を抱きしめた。
ルイ「・・・・・・っ・・・」
(こんなに冷え切って・・・・・・)
ルイの体は、
どれだけ長い時間
雨の中を歩いてきたのか
想像できるほど、
ひどく冷え切っていた。
「・・・馬鹿。放っておけるわけ、ないでしょ」
ルイ「・・・・・・・・・」
(・・・自分と似たような過去を持つ貴方を・・・)
「・・・一人になんて、させない」
(・・・させられる、わけがない)
止まない雨が、
体を容赦なく濡らしていく。
ルイ「一人でいい・・・。ずっと、そうやって歩いて来た」
冷たい雨音に紛れて、
ルイの掠れた声が耳に届く。
ルイ「全部、自分のためだ」
まるで自分に言い聞かせるように、
ルイが言葉を絞り出す。
ルイ「俺は・・・自分を救うために、生きてる」
(・・・・・・嘘つき)