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【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)

第2章 ウィスタリア王国





(・・・豪華な客室)

 ユーリに案内されて
 足を踏み入れたその部屋は、
 映画に出てきそうなほど
 絢爛豪華な客室だった。

ユーリ「ここが、零様の部屋だよ」

 静かにドアを閉めたユーリが
 部屋の中央付近まで歩み出て微笑む。

 白を基調とした広く明るい室内に、
 小さいながらも華々しいシャンデリア。

 調度品は、
 どれもすごく洗練されていて豪華だ。

「すごい・・・」

ユーリ「そうだよねー。ここは本来、各国の主要人が泊まられる部屋なんだ。けど、零様は国王陛下の『大切な』お客様だから、特別」

 感嘆の声を上げた私に、
 ユーリが悪戯っぽく微笑んで片目を瞑る。

ユーリ「荷物はここに置いておくね」

 そう言って、
 天蓋付きの豪華なベッドの足元に
 私の荷物を置いてくれた。

「ユーリ。荷物、ありがとう・・・」

 私がぽつりとこぼした言葉に、
 ユーリが一瞬目を見開く。

ユーリ「・・・荷物を運んだだけでお礼言われたの、俺初めて」

 愛らしい顔に極上の笑みを乗せ、
 嬉しそうに笑うユーリから視線を背けて
 私は素っ気なく答える。

「・・・別に・・・私の国では、当たり前のことだから」

ユーリ「そっか、零様は日本のお方なんだっけ」

「・・・・・・一応ね」

ユーリ「一応・・・?」


 王宮の長い廊下を歩きながら、
 ユーリが首を傾げる。

「・・・最近は、仕事で海外にいる方が長いから」

ユーリ「そうなんだ。零様、仕事できそうだもんね」

「・・・出来そうじゃなくて、出来るの」

ユーリ「それ、自分で言っちゃうんだ・・・」

 一瞬、大きな瞳をさらに大きく見開いて
 ユーリが楽しそうに笑う。

(・・・・・・こんな風に、私も笑えたらいいのに)

「っ・・・・・・」

 自分の心の声に、自分で驚いた。

ユーリ「零様、どうかした?」

 小さく息を呑み、急に足を止めた私を
 心配そうにユーリが覗き込む。

「・・・・・・何でもない」

 そっと息をついて再び歩き出す。

ユーリ「・・・?」

 ユーリは不思議そうな顔をしながら、
 私の後に続いた。
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