第1章 ~春~
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「あら、にのちゃん。またサボり?」
「サボり以外にオレがなにしにくんの、って話だろうが。センセ。」
近くにあるベッドに体をなげだすオレをみて、
それもそうね。
って黒いメガネと口角をクッとあげてこっちを見つめる先生は
エタノールのニオイが立ち込めるここには不吊りあいだ。
「ねぇ、にのちゃん。」
「はい?」
「ところで、あの子とはどうなったの?」
「全然ですって、まだ付き合ってくれそうな様子もないっすよ」
「意外と頑固なのね、あの子も」
「ほんとですよ。翔君が大好きな乙女ですからね」
顔をしかめてコーヒーを啜る先生。
“でも、そんな三角関係が面白いんじゃない”
って、ニヤニヤ笑いながらカップを指で遊んでる。
「おもしろい、ねぇ。」
「そうよ、あの櫻井くんってこも、なかなかカワイイこだったわよ。許してあげたらいいじゃない。」
「無理ですよ。諦めませんから」
あ、そう。
先生はまた、不機嫌な顔でコーヒーを啜った。