第1章 出会い
いえにあがると いままでかいだことのないような すっごく いいにおいがしました
あたらしいおうちの においやとおもいます
げんかんをはいって おくにすすむと おっきいとびらがありました
それをあけると ただよしくんが おっきなおいすに すわってました
ぼくが
『ただよしくん、こんにちは』
と こえをかけても
『おん』
というだけで、こっちをむいてくれませんでした
おばちゃんが クッキーと あっためた ぎゅうにゅうを もってきてくれました。
『ほら、忠義、隆平くん来てくれたんやから、いい加減ゲームやめなさい』
おばちゃんにおこられて ただよしくんは やっとぼくのかおを みてくれました
『あ、きのうの おもしろい こぉや♪
なぁ、なぁ、いっしょにあそぼうや♪
ひとりで ひまやってん‼
なぁ、なにしてあそぶ?
あ、そのまえに なんてよんだらいい?
おれんことは たつってよんで♪な?』
…きのうは ひとことも しゃべらんかったのに きょうは めっちゃ しゃべるなぁ…
『…じゃあ…みんながりゅーちゃんってよぶから…』
なんだかはずかしくなって ちっさいちっさいこえで へんじをしたら
『あ、りゅーちゃん、な!りゅーちゃん、りゅーちゃん♪りゅ~~ちゃんっ♪』
たつっていう そのこは ぼくのなまえを なんかいも なんかいもよびながら ぼくのまわりを ずっとずっと スキップしてました
なんだか かわいいこやな…あした、すばるくんときみくんに あわせたろ
ぼくは にこにこしながら たつのことを ずっとずっと みてました