第6章 あとどのくらいで、君の瞳に映れるのか
「一体どういう事なんだ」
「………」
アクアは依然として口を開かないまま。
アクアが倒れてから三日経った。
ずっと眠り続けていた訳では無いが、目を覚ましてもその焦点は定まらず、少し会話をしただけで荒い息を上げていた。その弱りきった姿が居た堪れない程に。
今朝、漸く回復してきて自分で起き上がれるようになっていたが、その容態は謎のまま。
「ただの風邪よ」
そう言い張るが、おれも伊達に医者をしている訳ではない。
「悪いが、寝ている間にお前の血液を調べさせてもらった」
「な…っ!さ、最低!」
慌てふためく彼女を余所に、採取した血液で作ったデータが書かれた紙を手にした。
「結果、異常は無かった」
全て基準値と変わらない。
不審な点は一つも見つからなかった。
絶対なにかあると踏んでいたが、こればかりはもうアクア本人に原因を吐かせるしかない。
鋭く彼女を睨みつける。すると観念したかのように大きくため息をつき、閉ざされていた口を開いた。