第6章 あとどのくらいで、君の瞳に映れるのか
「アクア!?」
まさかとは思ったが、その予想は的中して。
測量室から出てすぐの曲がり角でアクアがうつ伏せに倒れていた。
「おい!しっかりしろ!!」
身体を抱き起こしても返事は無い。だが触れた場所には尋常ではない熱を帯びていて、ただの風邪ではない事が分かる。
「…っ、アクア!」
激しく身体を揺らせば、ゆっくりと開かれた瞼。
その瞳は虚ろで、目線が定まっていなかった。微かに潤んでいる。
「だ、大丈夫…ちょっと、眩暈がしただけ…」
強がりなのか、自分で起きようとする素振りを見せるが、足に力が入らないようで床を空回るだけ。
「船長、部屋に連れて行ったほうが…」
「あァ…悪ィ、一旦話は仕切り直しだ」
大丈夫だから、と拒絶するアクアを無視し、彼女の身体を横抱きにして自室へ戻った。