第5章 いい人?
「あ、す、すいません!」
うわ、やっちゃった…最悪。
慌ててぶつかってしまった相手に謝り、床に散らばった資料をかき集めようとすると、チラリと白衣が視界に映った。
あれ…坂田先生?
そう思い顔を上げると、見たことのない美形の男性に一瞬息を飲む。
「いや、こっちこそごめんね。怪我はない?」
「…あ、はい。俺は大丈夫です」
我に返り慌てて答える。
ぶつかった相手は初めて見る人だったが、左目下の泣きぼくろが特徴的な、白衣がよく似合う美形の男だった。
妙に色気があるというか、坂田先生とはまた違った雰囲気の人だな。…誰だろう。
「手伝うよ」
そう言って男は資料をかき集めるのを手伝ってくれた。
「え、いえそんな、悪いですよ」
「いいよ。ぶつかった俺が悪いんだしね」
「…ありがとうございます」
ニコリと笑みを向けてくる彼に釣られて笑みを浮かべ、二人して資料を集める。