第3章 特別な感情
そわそわと時計を見つめると、カチリと針が動きチャイムの音が鳴り響く。
「じゃあ、今日はここまで。…山崎君、資料運ぶの手伝ってくれるか?」
「はい!」
きた!
ようやく楽しみが来たと、ガタリと音を立て椅子から立ち上がる。そのまま急いで教壇まで向かい、資料を持ち上げた。
俺はある事をきっかけに、授業の資料運びを手伝うようになっていた。
「いつもありがとうな」
「いえ…」
優しい笑みで礼を言われ、つい照れてしまう。
普段は周りに人が多い白水先生だけど、今のこの時間は俺だけを見てくれる。短い時間だけど、俺にとっては特別な時間だった。