第3章 特別な感情
皆さんこんにちは。山崎退です。
突然ですが、俺は今恋をしてます。
相手は教師で、その上同性。自分でもどうかしているとは思っている。けど気付いた頃にはもう恋に落ちてしまっていました。
机に頬杖をつき、コツコツとチョークが黒板に当たる音を鳴らし授業を進める俺の片思いの相手、白水八雲先生を見つめる。
よく通る声、スラッと細い指で教科書をめくる仕草、それだけの事でも絵になり見惚れてしまう。
やっぱりカッコイイよな。
ぼんやりと心の中で呟く。
白水先生は切れ長の涼やかな目が特徴的な甘いマスクで、そのルックスとモデルのようなしなやかな体つきも加わり、女子に大人気の先生だった。
勿論見た目だけではなく、誰に対しても優しく教え上手で、爽やかな笑顔が眩しい。誰にでも好かれるまさに理想的な先生だ。噂じゃファンクラブまであるらしい。
まぁ、ファンクラブがあってもおかしくないよな。現に男である俺が惚れちゃってるんだし。
あの人は、俺にも優しくしてくれる。
周りかは地味だの空気だの言われ、存在感のない俺だが、白水先生は俺の事もちゃんと見てくれる人だった。
いつも気にかけてくれて優しくしてくれる。周りが呆れて聞いてくれないミントンの話も、楽しそうに聞いてくれる人だった。
そんな事をされては、惚れるなというのが難しい。
俺だけを見て欲しい。
次第にそんな感情まで芽生えてしまった。
これが単なる独占欲だってのはよく分かってるし、叶わない恋だって事も分かっている。
けどこの気持ちを消す事は出来ずに、大きくなる一方だった。
だけどいい。あともう少しで特別を味わえる。早く授業終わらないかな。