第23章 ある日の居酒屋の会話【長編番外編】
「…けど、だからこそ、あなたはきっと、俺を壊せませんから」
「意味が分からない?ハハッ、まぁ、そうですよね。いきなりこんな事言われちゃ」
「あなたは優しいです。こうやって立ち直れたのは、あなたのおかげでもありますから。それは本当に感謝しています。けど、俺にとっては優し過ぎるんです」
「俺が思ってるほど優しくない?謙遜しなくてもいいのに。あ、でも一回だけ脅されてレイプされましたっけ」
「…あ、すいませんすいません。怒らないで」
「…まぁ、話を戻しますとね、あなたには話してありますから、知ってると思いますけど…」
「俺が、親に捨てられて、それ以降嫌われないように必死に良い子の仮面被ってたわけですよ、今までずっと」
「たまーに疲れちゃうんですけどね。やり続けるのも。けど自分にとって一番良い逃げ道だったし、周りに一番迷惑をかけない生き方だったので。それに…」
「…それに、それしか術を知らなかったから……」