第2章 アブノーマルカップル
「テメーはこっちだ」
「え…ちょっ…」
そのまま腕を引っ張られると、椅子に腰かける沖田先輩の膝の上に座らされてしまった。
「な、何の真似ですか?俺普通に席座りますから」
「これでいいだろ」
いいって何が?
離れようとしても腕でガッチリと身体を掴まれ逃れる事が出来ない。
「いや、沖田先輩それじゃ観にくいでしょ?人目も、ありますし…」
「大丈夫お前ちっこいし。それに、他の奴も気にしねーから安心しろぃ」
ああ言えばこう言う…
確かに他の人はこちらに見向きもしないけど、俺の気持ちの問題だよ。こんなんで落ち着いて映画観れるわけないじゃん。
「あの、ホントに離し…」
「ほら、映画始まるぞ」
抵抗もろくに出来ないまま、館内は暗くなり映画が始まってしまった。