第2章 アブノーマルカップル
これを今から観るのか。…というか、俺どれ選んだっけ。適当に指差したから忘れちゃったよ。…まぁ、元々真面目に観る気ないからいいけど。
そう言えば沖田先輩慣れてる感じだけど、こういうので抜くのかな。
そう思うと何故か胸がモヤモヤした。
沖田先輩、女で抜くのか。…いや、健全な男子ならそれが正しいだろ。むしろ俺がアブノーマルなだけで。
けど、じゃあなんで俺と付き合ってんだろ。
「中入るぞ」
「あ…はい」
声を掛けられ我に返り、館内へと入る。
ダメだなぁ。ここに来るまでの間ずっと嫌な事考えちゃう。どうしてこうネガティブな事考えちゃうかなぁ。
誘って貰えただけでも喜ばないとな。今は、取り敢えず楽しもう。
「空いてるみたいですね」
土曜日という事もあり人の多さが心配だったか、中はガラガラで片手で数えられる程度の人数しか居ない。
「そうだな。…後ろ座るか」
言われるままに誰も居ない一番後ろの席に座ろうとすると不意に沖田先輩に腕を掴まれた。