第20章 我慢厳禁【※女主】
「ごめん晋ちゃん、私急いでるから用があるなら後にして」
「は?俺の弁当は?」
「私の鞄に入ってるからそこから出して食べて。じゃ、私はこれで!」
「あ、オイ!」
高杉の声を背に八雲は止まる事なく屋上へと駆けて行った。
まったく、たまには自分でお昼用意すればいいのに。なんで毎回私がお弁当作ってこないといけないんだか。お母さんか私は!
それに何故か私と食べる事にこだわるし。ああ見えて寂しがり屋なのかしら。まぁ今日はまた子ちゃん達と食べるかな?
…と、それより急げ急げ!
不規則な呼吸を数回繰り返し、屋上のドアを開く。まだ誰も来ていないようで、風の音が耳の横を通過する。
よしよし、二人はまだ来てないな。
もうすぐ来ちゃうだろうし、早く準備しないと。
八雲は梯子を上り貯水タンクの上に身体を伏せた。
良いスポット見つけちゃったなー。ここならバレないし、二人の様子もバッチリ見えるね!
あ、誰か来た。…土方君が先か。