第19章 なんてことはない
その後もお互い何か会話があるわけでもなく、無言で後始末を終える。いつものことだ。
だが今日ばかりはそうもいかない。
「身体、大丈夫か?」
俺としては気遣いのつもりで言ったのだが、銀八はフン、と鼻を鳴らした。
「大丈夫なわけねぇだろ。身体のあちこちがイテーよ。こんな場所で毎回発情しやがって、変態かよ」
刺々しい言い方に苦笑いを浮かべる。心配はなさそうだ。
「今更そこ掘り下げんなよ。どうせ今日でもう最後じゃないか」
「だから言ってんだよ。ホントはシたくなかったのに、テメーがどうしてもって言ったんじゃねーか。あーあ、家帰ってもまだやる事たんまりあるってのによ」
一気にまくしたてらて肩をすくませた。昔からこいつに口喧嘩で勝てた例がなかった。
これ以上は何を言っても無駄だろうと思い、話を変える。