第18章 口説き文句
一体何を言い出すのか、いや、それ以前に何を言っているんだろうか。言葉の意味すら分からず何も言い返せない俺に、小太郎は構わず続ける。
「バンドエイドを持っていないか?君に落ちた時に膝をすりむいたらしい」
「…はぁ?」
訳の分からない言葉を続く。
まるでベタなラブストーリーにでも出てきそうな歯の浮く口説き文句に、背筋が痒くなってくる。
それも、普段バカがつく程真面目な小太郎からそんな言葉を聞かされてしまっては、困惑するしかない。どう対応していいか分からなかった。
「…なぁ小太郎、熱でもあるのか?」
「…確かに熱い。八雲のせいかもしれんな。俺は八雲といるといつも胸が熱くなる」
かぶりを振り大きくため息を吐いた。会話にならない。いや、会話にはなっているのかもしれないがこう返されては対処しようがない。
理由などどうでもいいから、今はともかく止めさせよう。
こういう風にまどろっこしい告白を受けるのはどうも性に合わない。何より、こいつらしくもない。
「お前が何を思ってさっきからクサイ告白をしてくるのかは分からんが、止めてくれ。身体が痒くなる」
少々棘のある言い方だったかもしれんが、他に思いつかなかった。小太郎はきょとんとした顔で首を捻る。