第18章 口説き文句
なんてこともない休日だった。
八雲はぼんやりとソファーに座りテレビを眺めていた。テレビの内容は特に面白いものではなかったが、他にやる事もなく時間潰しに見ていた。
チラリと横に座る桂小太郎に目を向けると、彼はテレビに目もくれず本を読んでいる。
何もわざわざここで読まなくても
前にそう思い本人に直接聞いてみたが、こっちの方が落ち着いて本を読めるのだと言う。
どう考えたって落ち着けるような環境ではなかったが、こうやって二人でのんびりと過ごす時間は八雲にとっても嫌いではなかったのでそれ以上は言わない。
しばらくして、小太郎がふと顔を上げると、本をパタリと閉じこちらを見つめてくる。
「?…どうした?俺の顔に何かついてるか?」
「俺は八雲から目が離せない」
「…ん?」
小太郎の訳の分からない発言に、首を傾げたまま固まってしまう。