第17章 ホワイトデー
「分かりました。じゃあ、ちょっとジッとしてて下さいね。…はい」
「えっ」
不意打ちに八雲の顔が近付いてきたかと思うと、口に甘く柔らかいものが当たる。それが八雲の唇だと分かるのに数秒かかった。
すぐに顔は離れ、八雲は勝ち誇った笑みを浮かべる。
「これで足りないんなら、また後でもっと良いものあげますよ」
そう言って今度こそ職員室から出て行ってしまった。
銀八は八雲を止める事も何かを言う事も出来ず、ただその場でフリーズした。現実に戻ると同時に顔が熱くなる。
あいつズリィ!!!
してやられたと銀八は頭を抱えた。熱は治まる事無く増すまがりだ。
クソッ、こういう時だけあんな大胆な真似しやがって。帰ったら覚えてろよコノヤロー。
真っ赤に茹でた顔と自然とニヤけてしまう顔を冷ますように手で顔を仰ぎながら八雲が帰ってくるのを心待ちにした。
こんなんで足りるかよ。もっとスゲーの要求してやっからな。