第16章 ある昼休み【長編番外編】
チラリと似蔵を見るも、やはり期待にはそぐわない回答が返ってくる。
「晋ちゃんがそうしてぇなら俺ぁ何も言わねぇよ。その人には美味いコロッケパンが売ってる店も教えて貰ったしな」
また子は唖然とするしかない。誰一人として味方がいない上に、バカ二人は賄賂で簡単に釣られていた。
あたしは絶対に認めないっスからね!
そんな気持ちを込めてまた子は八雲を睨み付けていると、高杉がたしなめるようにまた子に声をかける。
「落ち着けよまた子。こいつぁ頭は空だが、時と場合によりゃ役に立つと思うぜ?」
「晋助、俺これでも教師」
八雲のツッコミをスルーしてまた子は小さく唸るが、観念したように口を開く。
「…まぁ、晋助様がそう言うんなら…」
晋助様にそう言われてしまうとこれ以上は何も言えない。
また子は渋々ながらも八雲の出入りを認めることにした。…本当に役に立つかどうかは不明だが。