第14章 チョコの隠し味はウサギ
「…後で食うよ。今は腹減ってない」
「今食べてよ。感想聞きたいしね」
何とか突破口を開こうとするも、すぐに神威に閉ざされてしまう。
逃げ道を完全に失い無理矢理押し付けられたチョコを見るも食べる気にはなれない。自分の中で何か警告音でも鳴っているかのように、喉がキュッと閉まる。
何とか食べずに済まないかと神威にチラリと視線を向けると、何を思ったのかニコリと笑みを作る。
「もしかして、食べさせて欲しいの?」
「いや、そうじゃなくて、今は…むぐっ!」
「今は食べたくない」と答える前に口の中にチョコをねじ込まれる。しまった、と思った時には俺はチョコを飲み込んでしまっていた。
「っ!…ゲホッ、ゲホッ!」
慌てて吐き出そうとするもすでに遅く、チョコは喉を通り食道へと流れていった。ビターチョコだったのか、苦みの強いチョコの味が口全体にまだ残っている。