第14章 チョコの隠し味はウサギ
「ハッピーバレンタイン!」
いきなり部屋へ押し掛けて来たかと思うと、神威は丸いチョコが幾つも入った箱を差し出してくる。
ニコニコとご機嫌な笑顔を浮かべる目の前の男にただ唖然とするしかない。
「ありゃ、テンション低いね。チョコ嫌いだった?」
「…いや、嫌いじゃないが」
嫌いではない…が、
いつでも好き勝手に行動し俺を振り回し続けているこの男が自分にバレンタインチョコを持って来るなんて、怪しいにも程がある。
何か企んでるのか?
このチョコ、普通のチョコなのか?中に何か入ってるとか…
「良かったら一つ食べてよ」
「…あ、あぁ」
曖昧に頷いて見せるも、どうしても素直に受け取れず、観察するようにジッとチョコを見つめてしまう。