第13章 そういう男
「ここに入りたいんだが、いいか?」
「え…ここか?」
店の前で絶句する。
そこは最近話題のチョコ専門のカフェだった。特に女子に人気があるようで、よく雑誌やテレビで取り上げられているのを見た事がある。
しかも今日がバレンタインという事もあり、店は女子で賑わっていた。
「え、お前ここ入りたいの?」
改めて確認すれば、小太郎は大きく頷いてみせる。
「あぁ、一度入ってみたくてな。…やはり、嫌か?」
「嫌というか…」
ここに男二人で入るのか?難易度高くないか?
「…ダメか?」
悲しげに眉を下げ俺をジッと見つめてくる小太郎に、俺は完全にNOという選択肢を失わされてしまった。
こういう顔をされてしまうとめっぽう弱くなってしまう。自分でも情けない。
観念して店の中へと入る事となった。