第10章 告白の言葉
上機嫌で廊下を歩いていく銀八を確認し、ゆっくりと国語準備室へと戻る。中を覗くと制服を乱したままぐったりと床に横たわる八雲が目に映った。
「…八雲」
中へ入り、恐る恐る名前を呼べば、八雲は驚いたように慌てて体を起こしこちらを向く。
「あ!……ト…トシ」
その目は酷く怯え、今にも泣きだしてしまいそうだった。
「…お前、なんで…こんな事…」
他にも言いたい事が山ほどあったが、まず最初に口から出たのはそれだった。
いや、本来なら体を心配してやる事が先だったのかもしれない。だけど今はただ、どうしてこいつが、こんな真似をしているのか訳を知りたかった。
「なんであいつと…お前、あいつとどういう関係なんだよ」
なかなか答えようとしない八雲にもう一度聞く。
恋人同士だというのなら、それでも構わない。こいつが幸せならそれでいい。だが先ほどの様子は、好きでやっている訳ではなさそうだ。