第2章 再会
何も覚えていないだけでなく、彼女は生きることすら放棄したように何も話さず、何も口にせず、ぼんやりと開けた瞳は何も映さなかった。
そんな少女に卯ノ花は根気強く語りかけ、少しずつ食事を与えた。
少女はゆっくりとその傷が癒えるように心も開いていった。
父親との思い出をぽつりぽつりと話し出した。
父方の一族の事、霊力に封印らしきものがされていること。
楽しかった事、父親がいなくなって寂く、悲しいこと。
これからどうしていいのかわからないと心細そうに話す少女。
僅かながらも情がわいていた卯ノ花は少女に死神になるための方法を教えた。
そうして後ろ髪引かれる思いもあるが、規則通り少女を流魂街へと戻したのは数年前。
死神になるための方法を教えたからと言ってその通りすぐになれるわけではない。
こうして真央 霊術院に入ることさえ大変な苦労があっただろう。
数年ぶりに見る彼女の姿に卯ノ花も感慨深い思いがしていた。