• テキストサイズ

【ハイキュー!!短編集】Step by Step!

第4章 Sunflower =another=【澤村大地】



私は急いで片付けを終わらせ、荷物をまとめた。
靴を履き替えて待っていると、着替え終わった大地がやって来る。

「野村、お待たせ!」

「ううん、わざわざありがとう。他のみんなは?」

「終わったやつから先に帰らせた。遅くなっちゃったしな」

「そっか」

「よし!じゃ、行くか」

ドキドキと鳴る心臓の音が聞こえる。気持ちがフワフワして、自然と笑顔になってしまう。
でも大地がバサリと傘を広げ、一緒に校舎を出ようとした時、外から知っている声が飛んできた。

「…澤村!」

「あれ、道宮!どうした!?」

入り口の向こう、中庭の灯りの下に結が立っていた。嬉しそうな様子でこちらに駆けてくる。

「良かった〜!体育館にいなかったからもう帰っちゃったと思った…!あ、みなみも一緒だったんだ、お疲れ様っ!」

結はいつもの屈託のない笑顔で笑った。私も「お疲れ」と返す。目線は合わせずに。
そういえば、今日部活終わる時間聞かれたんだっけ…なんてボンヤリ考える。

「何?俺になんか用事あった?」

「あのさ…、ちょっと澤村に渡したいものがあって…」

そう言って、結はガサゴソとカバンの中を探す。包装紙にくるまれ、可愛いリボンがかけられた包みが見えた。

「お、おう…スマン野村、ちょっと待っててもらえる?」

大地が申し訳なさそうに聞く。
きっと結は、大地に何かあげたくて雨の中ずっと待っていたんだろう。

喉の奥がツン、とする。声が震えないように、私は精一杯の笑顔で言った。

「あー…ご、ごめん!私やっぱ更衣室に置き傘あったかも!だから大丈夫…!!ありがとねっ…!」

「えっ…!?お、おい野村っ…!」

大地が呼び止めるのを振り切って、私は駆け出した。


…知ってる?大地。

結といる時は声のトーンが変わるんだよ。

私と話す時と違って、笑顔になるんだよ。

そんな嬉しそうな顔で、私に謝らないでよ。



…大地のバカ。
私の気持ち、全然知らないくせに。



/ 42ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp