【ハイキュー!!短編集】Step by Step!
第4章 Sunflower =another=【澤村大地】
先に体育館に向かった潔子と合流して、他の部員が来る前に準備を始める。ボールの気圧チェック、ドリンクの用意、今日の練習メニューの確認。一通り準備を終えたところで大地が顔を出した。
「お疲れー!」
「あ、大地!お疲れ様!」
大丈夫。ちゃんと笑えてる。
「野村先輩っ!!お、お、お疲れ様ですっ…!!」
「あっ、日向もお疲れ様っ!今日も元気だね!」
大地の後ろから新入部員の日向も顔を出す。
私が声をかけると、日向は「あれ?」と首を傾げながら私の顔をのぞき込んできた。
「…野村先輩、今日元気ない…ですか…?」
「えっ…!」
私は思わずギクリとしてしまう。
「だ、だだだ大丈夫、大丈夫!!…昨日勉強で夜更かししちゃったんだっ!」
「そ、そうですか…3年だと勉強も大変そうですね…」
しゅん、とまるで花がしおれてしまったような顔。そんな顔しないで。日向は悪くない。
「…ありがと。でも大丈夫!日向のおかげで元気出たよ!」
そう言って私は、ポンポン、と日向の頭をなでた。そうすると日向は目を輝かせて、いつもキラキラした顔で笑ってくれる。
こんな弟がいたら、きっと毎日が楽しいだろうな。
日向は嬉しそうに「オスッ!」と返事をして体育館に駆け込んだ。
続いてドタドタと騒がしい足音が聞こえたので、私は素早く潔子のそばに陣取る。
「ぬおおおおぉぉぉ、潔子さーん!!今日も美しいッスーーー!!!!」
「相変わらず眩しいッス!潔子さんッ!!」
「……」
「ハイハイ、田中と西谷〜!潔子が困ってるから、アンタ達は潔子の半径3メートル以内に近づかないこと〜!!」
「野村さんのガードの固さ…!!パネェっす…!!」
「女の友情っすね!カッケーっす!!」
「田中も西谷も相変わらず懲りないなぁ…そのガッツを旭にも分けてくれよ…」
「スガ…俺を引き合いに出すなよ…」
「あっ、菅原も東峰もお疲れ〜!」
「ははは、野村もいつもお疲れ!」
「お疲れ〜」
続々と部員が集まってくる。みんなの顔見たら、ちょっと元気出たかも。
賑やかで楽しくて、この場にいれば嫌なことは忘れられる気がする。