【ハイキュー!!短編集】Step by Step!
第4章 Sunflower =another=【澤村大地】
「うん、これから部活だよ。もうすぐインハイ予選始まるから、結もガンバ!」
「ありがとう、頑張る!…そういえば、澤村が今年は凄い一年が入ってきたって言ってた」
「そうそう!大地のヤツ、すごく張り切ってるよ。全国も夢じゃない、って」
好きな人を下の名前で呼ぶ。ほんのちょっとの優越感。
「そっかぁ、いいなー。うちは相変わらずでさ…。でもまぁ、なんとか初戦だけでも勝てるように頑張る…!」
「あ、あと…」と付け加えて、結がもじもじしながら私に尋ねる。
「男バレ、今日はいつもと同じ時間に終わる…?」
「うーん…特に何もないから、7時過ぎには終わると思うよ。なんで?」
「ううん、大した用事じゃないんだ。ありがと!」
「うん。じゃあお互い頑張ろ!」
「ん!じゃあ行ってきまーす!」
結は私のこんな黒い気持ちなんて知らずに、着替えを済ませて、ヒラヒラと手を振りながら部活に向かった。
結のことはすごく好きだし、尊敬もしてる。でも大地の話をする時だけは、みぞおちがモヤモヤして目を合わせられなくなる。声も聞きたくなくなる。その、何も知らない明るい笑顔が嫌いになる。
私、こんなにイヤなやつだったっけ…?
私はいつも自己嫌悪になって、グルグルとまとまらない考えにとらわれる。
「…こんなんじゃダメだ…今は部活に集中しないと…!」
私はブンブンと首を振って大きく深呼吸すると、バチン!と思い切り頬を打って気合を入れた。
「よしっ!行こう…!」