【ハイキュー!!短編集】Step by Step!
第4章 Sunflower =another=【澤村大地】
「みなみ、いつ告白するの?澤村に。」
部活前。更衣室でジャージに着替えながら、清水潔子はサラリと私に問い掛けた。眉ひとつ動かさないすました顔で、まるで「最近髪切った?」とでも聞くように。
「し、しないよ…!インハイ前のこんな大事な時期に…!!」
「…そう」
潔子の、この一体何を考えているのか計り知れない所が、いっそう私のペースを乱す。
聞くだけ聞いたくせに、彼女はまた黙々と着替えに戻り、「じゃ、私先に行くから」と言ってさっさと練習前の準備に行ってしまった。
潔子の言った通り、私は中学からの幼なじみーーー澤村大地に恋をしている。隠していたつもりだったのに、潔子には入部したばかりの頃にズバリと言い当てられ、今に至るわけだ。
大地はというと、恋愛なんかそっちのけで、ずっとバレー一筋。「大会前の大事な時期に、色恋の話はやめてくれ」というのが彼の口癖でもある。
…でも、私は知ってる。大地には好きな人がいること。
「あれ、みなみお疲れー!これから部活?」
カラリとした笑顔で更衣室に入ってきたのは、女子バレー部の主将ーーー道宮結。結と私と大地は中学からの友達で、バレー仲間だ。と言っても、私は怪我を理由に高校ではバレーをやらず、こうして男子バレー部のマネージャーに専念している。
…ううん、怪我でバレーを辞めたなんて嘘。本当は、結に少しでも差をつけたくて、マネージャーを選んだ。
大地が好きなのは結で、多分、結も大地のことが好き。
中学の時からずっとそばで二人を見てきたから、なんとなく分かる。でも、お互いに自分の気持ちを言わないし、私も言わない。言えない。
そんな気持ちを悟られないよう、私は結に笑顔で答えた。