【ハイキュー!!短編集】Step by Step!
第3章 Time goes by【菅原孝支】
赴任初日。烏野高校へ初出勤の日。
その日はあっという間に来てしまった。
少し早めに出勤した俺は、朝礼までまだ時間があることを確認し、校門をくぐったその足で高校時代の大部分を捧げたあの場所に向かった。
「懐かしいなぁ………」
開いた扉の向こう側では、今朝も早くから登校したのであろうバレー部員たちが汗を流して練習に励んでいる。
何度も袖に腕を通した黒いジャージ。
指示を出す力強い掛け声。
床をこするバレーシューズの軽快な摩擦音。
俺はもうあっち側には戻れないけど、彼らは今を精一杯過ごしていて、眩しく見えた。それがどうしようもなく羨ましくて、もどかしい気持ちにさせる。
…でも、舞台に立つのはもう俺じゃないんだよな。
今度は彼らの支えになろうと決めて、この仕事を選んだんだ。
深呼吸をひとつ。
よし!と気合を入れて、俺は職員室に向かった。